広大な敷地には自然がたっぷりあって、
さまざまな遊びが点在されていている、横浜のこどもの国。
先日行ったのは、3月でした。
園内の奥のほう、みんなからは忘れ去られてしまいそうな場所に、
イサム・ノグチの設計した遊び場があります。
子どもたちはこのイサム・ノグチの構造物に夢中になりました。
最初は、一番上まで登って遠くを見たり、なんとか自分で降りてみようと試みていましたが、
しばらくすると、その赤いテトラポットのような物体を、
フクロウの家族の住む家に見立てた遊びを思いついたのです。
枝を集めてベッドを造ったり、土でつくったご飯をたべたり。
「 ホーホー、そろそろ夜だから起きましょう。」とか
「朝だよ!寝ましょうね。」とか
夜行性のフクロウになりきった二人。
子どもたちは、たのしみはじめると私のことなど本当に見えていないよう。
こういう子供たちの集中力の高まりを感じると私はいつも、
「ああ、このあそびは成功だ。」と思うのです。
日が暮れて、帰ろうよと声をかけても、
まだまだ遊びたそう。
ちっとも帰る気配はありません。
困った私は、とっさに足元に落ちていた木の枝を拾って
「この鍵でお家に鍵をかけておくのはどう?」と言いました。
子どもたちは、
「うん!」と納得した様子です。やったー!
「ガチャ」
フクロウの家にはしっかりと鍵がかけられました。
これでもう安心です。誰もこの家には入れません。
見えない世界を楽しむ時間をくれたイサム・ノグチ。
遠い空の上から私たちを見守ってくれているはずです。
次に来るときには、鍵を忘れないようにしなくては ……
Contax Aria / Kodak PORTRA 160